担当1人でも回る!中小企業サイトのWordPress設計と運用のコツ

弊社はこれまで、業種・規模を問わず多数の中小企業様のWordPressサイト制作や運用支援に携わってきました。その中で特に多かったのが、「1人でサイトを管理することの大変さ」「更新が続かず放置されるリスク」「担当が変わった途端に引き継ぎ不能になる」などの悩みです。

本記事では、そうした実務の現場から得た知見をもとに、中小企業が無理なくサイトを運用できるための設計ポイントをまとめています。

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1.コンテンツ設計で日々の運用をスムーズに!

まず、サイト全体の「設計図」をしっかり描くことが重要です。闇雲にページを作るのではなく、以下の点を意識しましょう。

サイトマップの計画

最初に、自社サイトに必要なコンテンツをすべて書き出します。例えば、「トップページ」「会社概要」「サービス紹介」「お問い合わせ」「採用情報」「お知らせ(ニュース)」「事例紹介」などが考えられます。他社の同業種サイトを参考に漏れをなくすのも有効です。

シンプルで分かりやすい階層設計

書き出したページ群を内容ごとにグループ化し、主なカテゴリに分類します。その上で、それぞれのページをサイト内でどの階層に配置するか決めましょう。サイト構造はできるだけシンプルにし、深い階層を作りすぎないよう注意が必要です。一般的に3階層程度までが望ましく、4階層以上は避けるのが良いとされています。シンプルな構造は、ユーザーが情報を探しやすいだけでなく、検索エンジンのクローラーにとっても理解しやすく、SEOにも良い影響を与えます。

投稿」と「固定ページ」の使い分け

WordPressには「投稿」と「固定ページ」という2種類のコンテンツ形式があります。それぞれ特性が異なるため、用途に応じて使い分けることが肝心です。

投稿: ブログ記事やお知らせ、活動報告など、日々追加・更新していくコンテンツに適しています。カテゴリやタグで管理でき、時系列で一覧表示されるため「最新情報」や「活動報告」などのコーナーに向いています。定期的な情報更新はSEOにも良い影響を与えます。

固定ページ: 会社案内やお問い合わせページのように一度作れば大きな更新が不要なページに向いています。これらは時系列表示やカテゴリー分類はされません。 更新頻度の低いコンテンツは固定ページで作成し、頻繁に追加・発信する情報は投稿機能で運用することで、サイト全体を効率よく管理できます。

カテゴリ設計は無理なく

更新頻度が低いのにカテゴリだけ増やしてしまうのは避けましょう。計画段階で「ニュース」「ブログ」「事例紹介」など複数のカテゴリを用意しても、実際の運用が追いつかず、各カテゴリに1記事しかない…という事態になりがちです。コンテンツ量が少ない状態ではサイトの見栄えも悪くなるため、最初は確実に更新できる種類のコンテンツに絞り、カテゴリ数も最小限にすることがポイントです。どうしても多様な情報発信が必要な場合は、カテゴリではなくタグで柔軟に分類するといった方法も検討できます。

1ページ1テーマの原則

各ページには一貫したテーマ・目的のコンテンツを配置し、複数の異なる情報を詰め込みすぎないようにしましょう。これにより、社内での更新担当箇所が明確になり、更新漏れや混乱を防げます。また、SEOの観点からも、1ページで特定のキーワードにフォーカスしやすくなります。

2.更新しやすいCMS(WordPress)の仕組みを作る

コンテンツ設計時には、実際の更新作業がスムーズに行えるようCMS(WordPress)の設定や更新フローを工夫することも重要です。

更新箇所と頻度の洗い出し

サイト構築時に「サイト内のどの情報を、どれくらいの頻度で更新する必要があるか」を整理しておきます。例えば、「トップページの◯◯の数字は毎月更新」「製品一覧は新商品が出たら随時追加」「ニュースは週1回投稿」などです。これを明確化することで、頻繁に更新が必要な部分には管理画面から編集できる仕組みを用意し、ほとんど変更しない部分は固定コンテンツとして簡略化するといった判断ができます。無理に全てを動的コンテンツ化しないことで開発コストを抑えつつ、必要な更新は社内で完結できる状態を作れるメリットがあります。

ブロックエディタ(Gutenberg)の活用

WordPressを使うなら、最新のブロックエディタ(Gutenberg)を前提にサイトを構築することを強くおすすめします。ブロックエディタであれば、記事本文のレイアウト組みや画像配置なども直感的に行え、HTML/CSSの知識がない社内担当者でも比較的簡単にコンテンツ編集ができます。これにより、「テキストを直すのに毎回制作会社に連絡する」といった手間を減らし、社内更新フローを円滑にできます。

ブロックエディタの活用記事は「ブログ作成担当者必見!効率良く記事を書くために知っておきたいWordPressブロックエディタの基本操作とコツはコレ!をチェックしてください。」

「アップデートに強い」テーマ・プラグイン選び

使用するWordPressテーマや主要プラグインは「更新のしやすさ・保守のしやすさ」で選ぶことが肝心です。単にデザインの好みだけでテーマを決めず、国産でサポートが手厚いテーマや定期アップデートが提供されているものを選ぶと安心です。また、サイトの機能拡張には一つの高機能プラグインに頼りすぎず、機能ごとにシンプルなプラグインを組み合わせる方が管理は容易です。 さらに、WordPressの「アップデートに強い構成」にする意識も重要です。独自のPHPコードを大量に書き足して実装すると、コアやプラグイン更新の際に動作不良を起こし「怖くて更新できない」という事態にもなりかねません。なるべくWordPress標準の機能や手法の範囲で実現することで、将来のバージョンアップでも問題が起きにくく、セキュリティ更新もしやすいサイトになります。これはサイトの安定稼働、ひいてはSEOにも直結します。

ユーザー権限の適切な設定

実際の更新作業手順も事前に考え、WordPressのユーザー権限機能を活用してフローを構築できます。例えば「投稿者」権限の社員が記事を書き、「編集者」権限の上長が確認して公開、といったワークフローです。担当者全員に管理者権限を与えてしまうと、誤操作でサイト設定を変えてしまったり、下書き中の記事を公開してしまったりといった事故につながるため、関与メンバーの役割とスキルに応じて適切な権限設定を行い、必要以上の操作をさせないルールを作っておくことが、安全かつ円滑な運用のポイントです。

3.属人化を防ぎ、長期運用に備える体制づくり

サイト運用をスムーズに行うには、「誰が何を担当するのか」を明確に決めておくことが不可欠です。中小企業では担当者が一人になりがちですが、「情報の見える化・共有化」を意識することで、属人化リスクを低減し、長期的な安定運用が可能になります。

業務内製がおすすめ外注がおすすめ
日々のコンテンツ更新〇(スピードと社内知識)△(必要に応じて)
技術保守・セキュリティ対応△(簡易的な範囲のみ)◎(専門業者へ)
サーバー・ドメイン管理◎(自社で把握すべき)△(移管リスク注意)
デザイン改修・機能追加△(軽微な修正のみ)◎(外注が安全)

役割分担の明確化と内製・外注の賢い使い分け

社内のリソースが限られる場合は、信頼できる外部パートナーを活用する視点も大切です。

日々のコンテンツ更新(ニュース記事投稿、キャンペーン告知など)

社内スタッフが対応するのが理想です。自社の最新情報はタイムリーに発信したいので、小回りが利き、自社の事情に詳しい担当者が書くことで内容精度も上がり、迅速な対応が可能です。

サイトの技術保守(WordPress本体・プラグイン更新、セキュリティ対策、サーバー監視)

小規模企業では専任の技術者がいないことが多く、WordPressやサーバーの細かな保守作業まで手が回らないのが実情です。信頼できる外部業者に委託するのがおすすめです。専門のエンジニアが対応することで迅速かつ適切な処置が期待でき、担当者が本業に専念できます。これはサイトの安定稼働に極めて重要です。

サーバー・ドメイン契約管理

レンタルサーバー契約や独自ドメインの管理権限は、可能な限り自社で把握しておくべきです。これらを制作会社任せにしてしまうと、万が一契約移管が必要になった際にスムーズに対応できないリスクがあります。特にドメインは企業の資産ですので、アカウント情報を社内で厳重に管理しましょう。

デザイン改修・機能追加(サイトリニューアル、大きなレイアウト変更、新機能開発)

軽微な画像差し替えやテキスト修正は社内で行えても、大幅なデザイン変更やシステム機能追加は社内人員では対応しきれない場合が多いです。外部制作会社に依頼するのが安全です。 このように、内製と外注を組み合わせてそれぞれの強みを活かす運用が理想的です。

運用マニュアルの整備と情報共有

更新作業の手順や注意点、サイト更新ポリシーなどをまとめた運用マニュアル・ガイドラインを作成し、常に最新内容に保つよう努めます。特に新任者が運用に困らない最低限の知識をシンプルにまとめた資料(例: 管理画面の基本操作手順、各種権限ユーザーの操作範囲、更新時の社内フロー、緊急時の連絡先一覧)を用意することが重要です。

属人化しない環境づくり

前任担当者だけが知っている設定やカスタマイズが多いと、引き継ぐ側は理解に苦労します。そうした属人的な運用を防ぐには、やはりサイトを標準的な構成に保つことと、ベンダーとも情報共有を図っておくことが大切です。

緊急時のサポート体制

サイト運用中に何か問題が起きたとき、「誰に聞けばいいのか」が不明だと対応が遅れてしまいます。担当者や外注先ごとに、トラブル発生時の連絡フローも決めておきましょう。可能なら代替ルートやバックアッププランも用意しておくと万全です。

まとめ

中小企業におけるWordPressサイト運用を円滑に進めるための鍵は、「無理のない計画・見通し」と「見える化・共有化」です。

最初にサイト構成や更新計画を無理のない範囲で策定し、実運用に耐える仕組みを作ること。そして属人化を防ぎ、誰でも把握できるよう情報を整理・共有しておくこと。

予算や人員に限りがある中小企業でも、これらのポイントを取り入れることで、「最小限のリソースで最大限の効果を出す」運用体制を整え、サイトの情報発信力を維持しつつトラブルにも強い運用が可能になります。ぜひ、本記事のポイントを参考に、貴社のWordPressサイト運営をスムーズかつ効果的に進めてください。

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