「CMSの導入が一般的になっている今、そのメリットに注目が集まる一方で、導入後に直面しうる課題やリスクについても理解しておくことが重要です。ここでは、CMSを導入することで起こりうるリスクや注意点について解説します。
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- CMS導入で起こりうるリスクと課題
- 1.CMS本体の運用・メンテナンス負担
- 2.セキュリティ対策の継続的な必要性
- 3.「使いやすさ」を維持するための習熟と体制づくり
- 4.CMSが必ずしも最適ではないケース
- まとめ
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CMS導入で起こりうるリスクと課題
近年、世界中のウェブサイトの6〜7割がCMSを用いて構築されており、日本国内でも日本語サイトの約58.5%がWordPressで構築されているなど、CMSの利用はすでに主流となっています。大企業から中小企業まで多くの組織でCMSが活用され、ウェブサイト運用の効率化やコンテンツ発信力の強化に貢献しています。しかし、CMS導入が常に万能というわけではなく、以下のような課題やリスクも存在します。
1.CMS本体の運用・メンテナンス負担
CMSを導入することでコンテンツ更新作業自体は効率化されますが、CMSそのものの運用・メンテナンスに新たな手間や専門知識が必要となる場合があります。具体的には、以下の点が挙げられます。
•ソフトウェア更新とプラグイン管理: CMSのコアソフトウェアや、機能拡張のためのプラグインは定期的に更新されます。これらの更新を怠ると、セキュリティリスクが高まったり、動作が不安定になったりする可能性があります。
•「更新の手間」の表面化: CMS利用企業が感じている課題として、「更新の手間」が46%と最も多く挙げられています。これは、CMS導入によってコンテンツ更新の頻度が飛躍的に増える可能性がある一方で、それを継続的に行うための社内体制やリソースの確保が必要になることを示唆しています。
2.セキュリティ対策の継続的な必要性
CMSは多くのウェブサイトで利用されているため、悪意のある攻撃の標的となることも少なくありません。CMS利用企業が抱える課題として、「セキュリティ対策」が41%と高い割合を占めています。
•脆弱性への対応: 人気のあるCMSほど、ソフトウェアの脆弱性が狙われるリスクがあります。CMS本体やプラグイン、テーマのアップデートを怠ると、情報漏洩やサイト改ざんなどの被害につながる可能性があります。
•適切な運用体制: CMSの導入だけでなく、その後もセキュリティパッチの適用、バックアップの実施、アクセス権限の適切な管理など、継続的なセキュリティ対策が運用担当者に求められます。
3.「使いやすさ」を維持するための習熟と体制づくり
CMSは専門知識がなくても更新可能という大きなメリットがありますが、その「使いやすさ」を組織全体で享受し続けるには、一定の労力が必要です。
•社内体制づくり: CMSによって更新頻度が飛躍的に増えた場合、その活動を継続するための「頻繁に更新し続けるための社内体制づくり」が求められます。これには、コンテンツ作成のルール化や、担当者のスキルアップ、複数人でのワークフロー構築などが含まれます。
•操作習熟の必要性: CMS選定において「使いやすさ」が最も重視されるポイントの一つですが(46%)、それでも全くの知識なしに高度な運用ができるわけではありません。新しい担当者が加わるたびに、CMSの操作方法や社内の運用ルールを習得させる必要があります。
4.CMSが必ずしも最適ではないケース
CMSは多くのメリットを提供しますが、すべてのウェブサイトに最適とは限りません。
•更新頻度が低いサイト: 「更新頻度が低く年に数回しか内容を変えないような静的サイトの場合、コストに見合わないためCMS導入を見送るケースもあります」と指摘されています。このような場合、初期費用をかけてCMSを導入するよりも、従来通り静的な構成のまま最低限の更新を外部に依頼する方が効率的である可能性もあります。
•特殊な要件を持つサイト: 非常に特殊な機能やデザインが求められるサイト、あるいは極めて高いパフォーマンス要件があるサイトでは、汎用CMSのカスタマイズだけでは対応が難しい場合や、独自のシステムを構築する方が適しているケースもあります。
まとめ
CMSは、ウェブサイトの運用効率化やコンテンツマーケティング強化に非常に有効なツールであり、多くの企業にとって不可欠な存在となっています。しかし、導入すれば全てが解決する「万能薬」ではありません。
導入を検討する際は、自社の更新頻度やセキュリティ要件、社内のリソース(人的・予算的)を総合的に考慮し、最も適したCMSを選定することが重要です。また、導入後もCMS本体のメンテナンスやセキュリティ対策、継続的なコンテンツ更新のための社内体制構築に意識を向け、適切な運用体制を整えることで、CMSのメリットを最大限に享受し、ウェブサイトを効率的かつ効果的に活用できるようになるでしょう。